ドイツに生まれたオーディオアクセサリーのブランド、SSC(String Suspension Concept)が発売するシンプルながらも革新的な音響技術に裏付けられた、効果てきめんのインシュレーター製品が日本に上陸して話題を呼んでいる。
ロープの張力によるサスペンションを、オーディオ機器から発生する振動を制御するために活かす「ロープ・テクノロジー」はSSCのベースボードに採用された基幹技術だ。その要素をより小さなインシュレーターに応用した「ストリング・テクノロジー」は、特殊な金属で作られた細かなストリングを網のように成形して、堅牢なアルミケースに固定。インシュレーターをオーディオ機器の足元に敷いて、音質劣化の主な要因となる振動による悪影響を徹底的にシャットアウトする。一見すると何の変哲もないように見える”フツウのインシュレーター”が息を呑むほど絶大な音質向上効果をもたらしてくれる。そのSSCの英名は広くオーディオファンに轟きはじめた。

今回はSSCのインシュレーターが音にもたらす良い効果が、音楽が生まれる場所でも同じように再現されるのか、東京の中心で音楽の最先端を走るライブハウス・クラブ「UNIT/SALOON」のマネージャー・加茂誉満氏に訊ねてみた。
UNIT/SALOONは都内に数多くあるライブハウス・クラブの中でも、特にEDMやテクノ、ハウスのアンダーグラウンドなサウンドの流行を発信し続けている、ファンにとっての聖地だ。それぞれの音楽ジャンルは特に低音を重視する傾向にあるようにも感じられるが、マネージャーの加茂氏はことさらに重低音ばかりを強調するような音づくりは求めてはいないと語っている。

「ライブハウスなのでパワフルな音を出すことも重要ですが、過度に音を出しすぎても集まってくれるお客様がつらくなるだけです。フロアの音響環境はできる限りお客様にとって一番心地よいバランスであるべきと考えています」。

UNIT/SALOONの音響メインブースの機材を拝見させていただいた。力強い音を前へ押し出すパワーに恵まれた大型のホーンスピーカーを左右に展開。足下には2基の大型サブウーファーが陣取る。ソースの再生にはパイオニアのマルチプレーヤー「CDJ-2000」と、アナログターンテーブルはテクニクスの「SL-1200 MK6」を2台ずつ揃える。司令塔はパイオニアのDJミキサー「DJM-900NXS」だ。

フロアが大勢のビジターで埋まると、音響的には主に低音が吸われて減衰しがちになる。もちろん、パーティーは賑やかな方が誰にとってもハッピーだ。だからそのベストコンディションを想定して、音の鳴りっぷりを追い込むことが最高の音のバランスなのだと加茂氏が説いている。「ライブハウスやクラブで楽しむ音楽は耳だけでなく身体や五感で感じるものです。音楽や照明も含めた“本番”での雰囲気づくりにはいつも力を入れています」。

加茂氏が理想とするUNIT/SALOONのサウンドコンセプトを、SSCのインシュレーターがどのように肉付けしていったのだろうか。今回、加茂氏がSSCのインシュレーター「NET POINT 300」を試して感じた効果についてうかがってみよう。

「CDJ-2000の足下に敷いて効果を聴き比べてみました。音楽再生にとって大事なエッセンスである低音のフォーカスが定まって、とてもクリアになりました。音像もぐんと立体的に前へ迫ってくるようになりました。むだな振動が器材に与える悪い影響を取り除いてくれたのだと思います」。加茂氏が満足げな笑みを浮かべる。

加茂氏はインシュレーターというオーディオアクセサリーの存在自体は知っていたが、その効果を今回初めて実感したと語る。比較的手軽な価格で導入できるところも、加茂氏がメリットとして捉えている部分だ。「フロアの音をもっと良くしたいという思いはいつもありましたが、リファレンスの器材を簡単に入れ替えてしまうことには抵抗もありました。SSCのインシュレーターはメインの環境を入れ替えることなく、手軽に、そして確かな音質向上の効果が得られるところがいいですね」。

ホールの音場を調節するPA(音響調整のプロフェッショナル)にもSSCの効果をぜひ伝えたいと加茂氏は息を弾ませながら語る。「PAの方々は、ライブハウスやイベントなど現場単位で音響を調整されることが多いので、インシュレーターの存在は知っていても、その効果を同じ場所でじっくりと確かめる機会がないのだと思います。でも皆さんともに“いい音”が鳴らせる環境をつくることにはとても情熱的で前向きなので、きっとSSCのように高い効果があって、コスト面でも安心できるアイテムを求めているのではないでしょうか」。

筆者もUNIT/SALOONのメインステージで、CDJ-2000にSSC「NET POINT」を着脱しながら音の違いを体験させていただいた。元もとパワーの出せるシステムなので、少しチューニングを変えた結果が大きな差として現れてくる。SSCのインシュレーターを履かせると、まさに音楽のありのままのエネルギーがぶつかってくるような手応えがある。サブウーファーから放たれる重低音も大きく様変わりした。とても筋肉質なビートが身体の芯を心地よく貫いて、気が付けば自然と足下でステップを刻んでいた。ノイズフロアもグンと下がって、目の前に浮かぶ音風景がクリアに澄み渡る。気持ちいい音楽を浴びながら、いつまでもこの場所で踊っていたくなる。皆様もぜひUNIT/SALOONの最新のサウンドを楽しみに来てみてはいかがだろうか。

最新のイベントニュースやスケジュールはUNIT/SALOONのWebサイト(http://saloon-tokyo.com/)、またはTwitterやFacebookでチェックできる。

【Information】
UNIT/SALOON
東京都渋谷区恵比寿西1-34-17 Za HOUSE
Homepage:http://saloon-tokyo.com/
TEL:03-5459-8633
アクセス:
東急東横線「代官山駅」:徒歩約2分
東急東横線・東京メトロ日比谷線「中目黒駅」:徒歩約5分
JR山手線・東京メトロ日比谷線「恵比寿駅」:徒歩約7分